尾瀬の自然を守る会から脈々と尾瀬の自然を守ってきました

NPO法人尾瀬自然保護ネットワークは、尾瀬で自然保護活動を行っているボランティア団体です。尾瀬を訪れる人を対象に入山指導、自然解説、観察会などを行っています。活動を通じて自然環境保護意識の普及、啓発に取り組んでいます。

 理事長あいさつ

 私たちは“貴重な尾瀬の自然を後世に伝えよう”をモットーにして、尾瀬国立公園で自然保護の実践活動を行っている民間のボランティア団体です。
 その主な活動は、尾瀬を訪れるハイカーを対象にした自然環境教育事業、尾瀬の自然保護に関する調査研究事業および自然環境保護に関する普及啓発活動などを通じて、自然と人間が共存できる豊かな社会の実現を目指しています。

 尾瀬という言葉を聞くと、皆さんはどのようなイメージをお持ちになるでしょうか。
広大な湿原に真っ直ぐ延びる木道、雪解け水に微笑むミズバショウ、生命感あふれるニッコウキスゲの大群落あるいは狐色に輝く草紅葉など、大自然の風景を思い起こすでしょう。
 しかし、これらの尾瀬を代表する自然も絶えず変化しています。例えば、ニッコウキスゲの大群落はニホンジカの食害により激減してしまい、もはや過去の風景になってしまいました。


 尾瀬の自然は湿原・池塘・湖・山岳など極めて繊細で脆弱な生態系によって成り立っています。学術的にも非常に高い価値を有し、人為的影響を最小限に抑えなければならない貴重な自然です。その利用には細心の注意が必要です。このため尾瀬の核心部(9,386ヘクタール:尾瀬全面積の25%)は法律によって「特別保護地区」と「特別天然記念物」に指定され、厳重に保護しなければならない自然として、現状変更や自然を傷つける行為は禁止もしくは厳しく制限されています。

 最近の尾瀬は、ニホンジカの増加による高山植物の食害と湿原の掘り起し(裸地化)が大きな問題となっています。さらに至仏山や燧ヶ岳の登山道の荒廃と植生復元、鳩待峠の一極集中入山、負の遺産問題(過去のゴミ大量投棄の後始末)、木道や公衆トイレ等のインフラの維持管理など、大小様々な課題を抱えています。
 周りの環境変化に気が付かず、いわゆる「ゆでガエル現象」に陥らないためにも、安易に都会の利便性を持ち込む施策や観光地化を目指すような利用は戒めなければなりません。特に「特別保護地区」においては、厳正な保護と秩序ある利用とのバランスを図ることが重要と考えます。
 生物多様性の確保に重点を置いた長期ビジョンに基づき、各種施策が着実に実施されることを切に願っています。

 私たちは尾瀬を訪れた時のあの感動を次世代に伝えるために、特定非営利活動法人(NPO)としてフィールド重視の実践活動を通じて、尾瀬国立公園の自然保護活動に取り組んで参ります。皆様方のご支援・ご協力を心からお願い申し上げます。

特定非営利活動法人 尾瀬自然保護ネットワーク
 理事長 磯部 義孝

活動の様子
 

歴史

 私達の前身である「尾瀬の自然を守る会」は1971年(昭和46年)に三平峠の自動車道建設問題をきっかけに結成され、奥鬼怒スーパー林道問題、汚水処理問題等の解決、ごみ持ち帰り運動、尾瀬の利用に関わる提言など多くの活動を展開して来ました。その後 1996年12月8日の総会をもって25年間にわたる活動の幕を閉じました。
 現在の「NPO法人尾瀬自然保護ネットワーク」では 、その意思を引き継ぎ新たに 「自然保護指導員養成講座」を開講し人材育成を開始。 環境保護活動を通して理事長を始め理事のメンバーや会員がボランティアとして、尾瀬の自然を後世まで美しく残そうと取り組んで居ります。

 

会の生い立ち

1971年7月 (S46) 尾瀬の自然を破壊から守る会」結成。 平野長蔵、母靖子、中島千代子の3氏発起人となって会を立ち上げる。 尾瀬の核心部分を縦断する観光道路から尾瀬の自然を守ろうと、日本で初めての市民の手による自然保護レジスタンスを行う。
1972年6月(S47) 「ゴミ持ち帰り運動」 始まる。 「ゴミを持って帰るように呼びかけよう」。この声かけ運動は尾瀬から始まり、他の国立公園でもゴミ問題を見直すきっかけとなる。
1978年 (S53) 第一回尾瀬自然保護指導員養成講座 開催。 尾瀬の生態系保全の啓蒙活動に携わるレベルの高い人材育成を目的に開始される。
1996年12月(H8) 「尾瀬の自然を守る会」解散。  
1997年3月(H9) NPO法人尾瀬自然保護ネットワーク設立 「尾瀬の自然を後世に伝えよう」をキャッチフレーズに設立。
2013年(H25) 「尾瀬アカデミー」開講 尾瀬自然保護指導員養成講座がリニューアルして登場。世代を超えて 尾瀬の自然を守るボランティアの育成に力を入れます。
2014年(H26) 尾瀬自然保護指導員7名誕生 「尾瀬アカデミー」を受講して無事指導員になられた皆さんおめでとうございます!