今おきている様々な問題

 水芭蕉の花の咲く湿原、雄大な山、自然のままの姿に魅かれて多くの人々が 尾瀬を訪れます。今のままの尾瀬を10年後20年後も残すことは出来るのでしょうか?

入山者の数

 2013年(H25) が34万人とやや増加しましたが、その後入山者減少傾向が続いています。オーバーユースによる影響は、「負の遺産」をはじめ、さまざまな面で未だひずみとなって現れています。

  • 登山道脇の植生の踏みつけ
  • 登山道拡幅
  • 盗掘
  • 人や物資の往来による植物種子の付着から外来種の侵入
  • 尾瀬固有種への被圧、固有種の衰退
  • トイレがない至仏山のし尿処理問題

 

尾入山者数動向グラフ

入山者数

 

水質の悪化

 環境省公共用水域水質測定結果(最終公表/2019年12月)発表によると、尾瀬沼COD-4.7=全国153位/188湖沼中(=ワースト36位)です。

 標高1660mの亜高山帯に位置する尾瀬沼。山紫水明の尾瀬沼であって欲しいのですが、「COD値目標3.0」を大幅に超える水質悪化が常態化しています。今ではセシウムまで湖底に堆積との学術論文もあります。

 

尾瀬沼「COD値」グラフ

水質汚染

 

 

ゴミ問題

 「ゴミ持ち帰り運動」の発祥の地である尾瀬。しかし過去に捨てられた大量のゴミが地中に埋まったまま50年以上たちます。 2002年(H14) には不法投棄による有罪判決事件も起きています。 ゴミからは乾電池や有害な重金属が溶け出して、沢や湿原に流れ込んでいるを指摘されています。

 

隠し続ける「負の遺産」

尾瀬のごみ

尾瀬のごみ

2019/8/31撮影

産業廃棄物不法投棄=尾瀬国立公園-特別保護地区、特別天然記念物

 

シカ問題

 暖冬、小雪傾向により1980年代後半より尾瀬にも食草を求めシカが入り込むようになりました。 近頃は尾瀬で越冬するグループも出始めたようです。 食害に加えて 自分の体についたダニを落とすために湿原でドロ浴びをします。 シカは 一年で1ミリ程度しか成長できない高層湿原の泥炭層を、30cmから40cm掘り返してヌタ場を作ります。 30cmとは泥炭層形成の300年分の蓄積であり、回復までには膨大な時間が必要になります。

 

尾瀬自然保護ネットワークは この問題を解決するために「尾瀬インタープリター(自然保護指導員)」の育成に力を入れています。